(この記事の使用環境: Unity5.5.0f3 Personal、Windows10


今回は教材レビューです。やってみたのはこの本。
普通の紙の本もKindle版もあります。自分はKindle版を買いました。



■ 感想

UnityのParticle Systemを使った数多くのエフェクトの「作成レシピ」を紹介する本です。どれもレシピを知ってしまえば簡単な設定で作れるシンプルなエフェクトで、それでいてとても美しい。多くのゲーム作りに役立てることができそうで、しっかり学習する甲斐のある本だと思います。

Particle Systemは設定値を変えることでその姿をがらっと変えるので、こういうレシピ本のようなものの存在はありがたいと思いました。初心者が具材と調理器具だけ揃えてもいきなり美味しい料理を作れるわけではないので。逆にレシピを知るとシンプルな素材とシンプルな設定で魔法のように多種多様なエフェクトを作り出せるようになるのだなと。
雨の降るエフェクトや桜の花びらが舞うエフェクトはしばらく見とれてしまうほどでした。また、粒状のものだけでなく、スピード線やレーザービームのような表現もできることが分かったのは大きな収穫でした。

Particle Systemの設定項目は全体ではたくさんありますが、この本では項目を絞り込んで、それらの値をさまざまに変えることによってエフェクトを表現しているように感じました。むやみに浅く広くで数多くの項目をいじるよりもこのほうが覚えやすいので入門としては十分だと思います。

以前シェーダーを勉強したこともありますが、今回のパーティクルエフェクト作りはシェーダーを作るのと比べたらはるかに直観的に作業できて楽しかったです(シェーダーはCgという言語で編集する必要があるのでかなり入門のハードルが高い)。「Unityで物体を動かすことはできるようになったけど、もっと見た目を派手にしたい。演出を付け加えたい」というときには、まずパーティクルエフェクトの導入を試すのがいいのかもしれませんね。

作成するエフェクトのうちほんの一部の紹介。どれも「使えそう」ですよね。




 
 
■ 特長、参考になった箇所
  • 炎や水のエフェクト、雨・雪・桜が降ってくるエフェクト、車輪から上がる土煙や物体の速さを表現するスピード線、キャラクターの毒状態や無敵状態などをゲーム的に表すエフェクト、宝箱を開けたときに中から光があふれ財宝がキラキラ輝くエフェクト、派手な攻撃エフェクトなどなど、いろいろな場面・用途で活用できる美しいエフェクトを作成することができる。数多くのエフェクトを作る中で、「これはこういう風に作るのかな」なんとなくパターンを身に染み込ませることができる(できたような)。

■ もっと知りたかったこと
  • Particle Systemの設定以外の部分に関して、なぜこうするのがいいのかという説明がもう少しほしかった。「なぜ空のゲームオブジェクトを親オブジェクトとして置くのがよいのか」「なぜこのマテリアルのシェーダーはAdditive(あるいはAlpha Blended)にしているのか」など。
  • 全体を通してUnityのParticle Systemの設定について記載されており、素材として使用されるテクスチャやマテリアル、シェーダー等についての説明はかなり少ない。自分でイチからエフェクトを作る場合にはテクスチャを自作するか別途フリー素材を探すことになると思うので、素材の作り方をこの本に収めるのは厳しいにしても、その方向への手がかり・案内をもう少ししてもらえるとうれしかったかも。いや実際そういう配慮はしてくださっているのですが、もう少しあるともっとうれしかったかなと・・・(ただのわがままです)。

■ 誤記など
    • P.49の表5で、Alphaの設定値がどれも255になっているので、これでは「炎が上に行くとフェードアウトで消える」ようにはならない。Location 100のほうのAlphaを 0 にすることで、フェードアウトするようにできる。
    • P.100~「07-1 風のうずを作る」で、教本のイメージのとおり上に向かって渦が巻きあがるようにするためには、「wind1_alpha」のTransform>Rotation>Xを-90(270)にセットしておく必要がある。
    • (誤記)P.130の「2 Particle Systemにマテリアルを設定する」で、「Hierarchyビューから parline1_alpha を選択」とあるが、「shock1_alphaを選択」の誤り。また、選択するマテリアルも「eff_par1_alpha」は誤りで、「eff_shock1_alpha」が正しい。
    • P.164の「8 Transformの設定を行う」で、Positionが(0, -0.6, 0)では発行源が前方ではなく下方に移動してしまう。(0, 0, 0.6)でよいのでは。
    • P.168~「06-1 虹色の光の筋を作る」で、教本のイメージのとおり光が上下方向に差すようにするためには、「parline1_add」のTransform>Rotation>Xを-90(270)にセットしておく必要がある。
    • P.175の「2 [Renderer]モジュールの設定を行う」で、マテリアルに設定するのは「eff_ring1_add」ではなく「eff_ring2_add」が正(文章は誤り、図は正しい)。
    • P.200の「3 Transformの設定を行う」で、Positionが(0, 0, -5)ではエフェクトがギターの手前に表示されない(ギターと同じZ座標から開始し、奥に進むため)。Z座標をもっと手前、(0, 0, -8)程度にすることでギターの手前にもエフェクトが表示されるようになった。
    • P.207の「8 [Size over Lifetime ]モジュールの設定を行う」で、Keyを設定するグラフ上では正規化した値を設定するようになっていた(バージョン差異かも)。Keyの値を「0.000, 1.000」および「0.250, 0.300」で設定した。
    • P.219の「2 [Main]モジュールの設定を行う」で、StartColorは「255, 255, 193, 255」ではなく「255, 255, 0, 255」にすると図のイメージどおりの色になる。
    • P.233~「CHAPTER07 LESSON5」で、エフェクトが掲載されている図のようにシーンに配置されている球体イメージよりも前面に表示されるためには、エフェクトのZ座標を少しマイナスの値にする必要がある。
    • P.266の「7 [Color over Lifetime]モジュールの設定を行う」で、AlphaのLocation 0 に設定する値が2つになってしまっているので、⑥のほうをAlpha 255、Location 8.5%に設定した(P.269の設定にあわせた)。
    • P.287の「2 [Particle System]にマテリアルを設定する」で、マテリアルに設定するのは「eff_aura1_add」ではなく「eff_par1_add」が正(文章は誤り、図は正しい)。
    • P.297の「[Color over Lifetime]モジュールの設定を行う」で、①のColor設定(R, G, B)は(252, 182, 255)ではなく(182, 252, 255)が正しい。


    パーティクルを作ってみたい人や、アセットのパーティクルを自分好みに編集して使えるようになりたいという人にはとてもおすすめの一冊です。
    今回は以上です。

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